従来の「モデリング → UV展開 → テクスチャペイント」というリニアな工程を見直し、テクスチャ(三面図)の確定を最優先するワークフローへ移行しました。工程を「塗る」から「配置する」へ変換することで、制作の効率化とデータ管理の簡素化を図ります。
Nanobananaで原画を読み込ませて展開をお願いすれば3面図を簡単に作成できます。
UV配置の簡略化: テクスチャが完成しているため、一般的なUV展開作業は不要です。UV編集画面上で面を該当する画像領域に重ねるだけでテクスチャリングが完了します。
元のテクスチャが壊れないように形状を作っていきます。側面は引き延ばされた絵になりますが、これはUV編集でその面を抜き出し、画像の上に重ねて面のテクスチャを決めていきます。
左:UV編集、右:3Dビューポート、オレンジの面がテクスチャに対応している
柱・土台の構築: 柱の側面など、特定の「色情報」のみが必要な箇所は、UVを極小化して画像上の特定の色領域に配置する手法をとります。これにより、画像解像度を無駄なく利用できます。UVとビューポートのスケールはイコールではないので、ただ色が欲しいところはUVを極小にすると色だけ付けることも可能です。
なぜモデリング工程を「設計図起点」に変えるのか?
従来のワークフローから脱却することで、以下の運用メリットが生まれます。
✅ 作業の同期
モデリング中にテクスチャが完成するため、ペイントツールへの往復が不要。
✅ 低コストなバリエーション展開
モデル構造はそのままで、テクスチャのインペイント差し替えのみで別アセット化が可能。
✅ Unity 6最適化の自動化
構築段階で1マテリアルに集約されるため、ドローコールやVRAM管理が極めて容易に。
「形状を作る」という工数を、いかにして「最適化されたデータとして出力するか」に全振りする。このアプローチにより、個人でも大規模環境の構築が可能になります。
同じ面数にで生成した場合のトポロジー比較
Tripoのテクスチャ
| 比較項目 | Tripo AI等の自動生成 | テクスチャ起点ワークフロー |
|---|---|---|
| 主な用途 | ラフ検討・マップデザインの試作 | 本番アセットの構築・最適化 |
| トポロジー | 無秩序なエッジ(ラフ用) | 整然とした軽量メッシュ(実装用) |
| 質感管理 | 生成時の焼き込み(修正困難) | インペイントで非破壊修正・一括変更 |
| エンジニアリング適合 | プロトタイプ向き | Unity 6等の本番環境に最適 |
Tripo AI等の自動生成モデルは、メッシュ構造が無秩序であるだけでなく、UV展開が「パズルのように入り組んだ状態」で出力されます。
このため、端部の汚れを修正しようとしてペイントツールで筆を入れると、意図しない面(UVの重なり部分)まで塗られてしまう「テクスチャ汚染」が発生します。リトポロジーやUVの再整理にかかる時間を考慮すると、規則的な形状については最初から手作業でメッシュを切り出したほうが、結果的に工数・品質ともに高い水準を維持できます。
AIモデルは生成された時点でテクスチャがメッシュに固定され、後の質感調整が困難です。本手法では、マスター画像(設計図)をAIでインペイントして差し替えるだけで、アセットの質感を一括で更新できます。同じ構造であればテクスチャの差し替えでバリエーションを作ることが可能です。
AI生成モデルにおいて最も厄介なのは、端部に生じるノイズや汚れの処理です。
AIモデルはUVがパズルのように複雑に重なり合っていることが多く、ペイントツールで端部を補修しようとすると、UVの重なりを通じて意図しない面まで色が反映されてしまう「テクスチャ汚染」が頻発します。
この状態から修正を試みる場合、以下の工程が必要となり、膨大な工数を浪費します。
これらの一連の作業は、単なる修正作業の域を超え、実質的には「モデルの作り直し」に近い負荷を強います。ノイズの混入したAIモデルを修正し続けるよりも、最初からテクスチャを設計図として活用し、クリーンなメッシュを切り出したほうが、結果として品質と速度の両面で圧倒的な優位性を確保できます。
AI生成モデルをそのままゲームアセットとして使うのは、トポロジーやUVの管理という面でリスクが大きいです。
AIはあくまでマップの配置検討やシルエットの試作といった「プロトタイプ作成」として活用し、本番のアセットはそこから抽出したテクスチャ情報を元に、手動でメッシュを最適化しながら再構築するのが現実的です。
「思考はAIで爆速に、実装は手動でクリーンに」。この役割分担こそが、制作効率とパフォーマンスを両立させる合理的な考え方だと考えています。